LET関数の構文解説 -変数を定義して、分かりやすい数式を構築-
本記事はEXCELのLET関数を解説します。
LET関数はEXCEL 365、EXCEL 2021以降で利用可能です。
EXCELのLET関数は、「レット関数」と呼びます。
英語の「let」に由来し、「許可する」という意味があります。
プログラミングにおいて、LETは変数を定義する際に使われます。
EXCELでも同様に、
変数を定義して、数式を構築するために使用されます。
Microsoft Excelの「数学/三角関数」のカテゴリに属します。
目次
こんな時に便利!
LET関数を使わない場合、長い数式を何度も繰り返し書かなければならず、エラーが発生しやすくなります。
LET関数を使用すると、変数を定義して数式を構築でき、数式が分かりやすくなります。
また、計算速度も向上します。
簡素化
式に名前を付けて変数として定義することで、数式が簡素になり、理解しやすくなります。
ミス防止
特定の範囲参照やセル参照を覚える必要がなくなります。
変数にわかりやすい名前を付けることで、数式の内容が明確になり、誤りが減ります。
高速化
計算式を1回だけ実行し、その結果を再利用できます。
これにより、同じ計算を繰り返すことがなくなり、パフォーマンスが向上します。
LET関数とは
[関数の検索]のテキスト内に、「LET」と入力し、[検索開始]をクリックすると、関数がヒットします。
詳細の使用法に興味のある方は巻末の参考記事をご拝読ください。
計算結果を名前に割り当てます。数式内で名前を定義して、中問の計算結果と値を保存するのに便利です。
[関数の挿入]ダイアログより
これらの名前は、 LET関数の範囲内でのみ適用されます。
LET関数は、変数を定義して、数式を構築できます。
LET関数を活用することで、定型的な公式でも簡潔に表現し、第3者でも何をしているか分かり、また、複雑な数式もわかりやすくなります。
まずは、次のシンプルな使用例を元に、LET関数の使用イメージを掴んでください。
LET関数の使用例
LET
関数を使用して変数x
を定義し、その変数を使って計算してみます。
任意セルをクリックして、以下の関数式を入力します。
=LET(x,99,SUM(x,1))
※[]は省略可能です
LET関数を使うことで、変数を定義し、その変数を数式内で利用することができます。
- 変数の定義: xという名前の変数を定義し、その値として、99を設定しています。
- 計算: 定義した変数xを使って、SUM(x,1)を計算します。ここでは、xに99を代入して
99+ 1
を求めるので、結果は6
になります。
この例は、Microsoftの公式サポートページに基づいています。
公式情報をもとに、一部内容を改訂してアレンジしています。
LET関数を使用しない場合の不便さ
LET関数を使用しない場合、同じ計算をするためには、直接数式に値を埋め込む必要があります。
たとえば:
=SUM(5, 1)
この場合、数式が簡単ですが、もし5
を別の値に変更する必要があるとき、数式全体を修正する必要があります。
また、同じ値を複数の場所で使用する場合には、数式が冗長になり、ミスが発生しやすくなります。
LET関数を使用することで、変数を定義し、一度だけ値を設定することで、数式全体を簡潔に保ち、変更やメンテナンスが容易になります。
さらに、変数を使って計算することで、数式が直感的に理解しやすくなります。
まずはシンプルな例を示しましたが、イメージが沸かない方もいるかもしれません。別の記事で他の例も紹介する予定ですので、お楽しみに!
LET関数の構文解説
LET関数の構文について説明します。
各引数の詳細な解説を行います。
=LET(名前1, 名前値1, 計算または名前2, [名前値2,計算または名前3,…])
※[]は省略可能です
名前とそれに関連付ける値のペアを定義し、その後、これらを利用する計算式を指定します。
少なくとも1組の名前/値のペア(変数)を定義する必要があり、最大で126組のペアをサポートします。
名前、それに関連付ける値のペア、計算の関係図です。
第1引数:名前1
名前1:
名前1,名前2,.. 名前、または LET 内のすべての名前を使用できる計算。
[関数の引数]のダイアログボックスより
名前の先頭は文字にする必要があり、名前は数式の出力であったり、範囲の構文と競合したりすることはできません。
第1引数は、定義する変数の名前を指定します。
この名前は数式内で使用される変数名となります
第2引数:名前値1
名前値1:
名前値1,名前値2,…名前に関連付けされている値。
[関数の引数]のダイアログボックスより
第2引数「名前値1」は、第1引数「名前1」に対して指定された値を定義します。
第1引数「名前1」と第2引数「名前値1」でペアが形成されています。
このペアを複数作成すると、複数変数が定義できます。
具体的には第3引数以降で設定します。
第3引数:計算または名前2
計算または名前2:
計算または名前1,計算または名前2,… 名前に関連付けされている値。
[関数の引数]のダイアログボックスより
計算または名前2のどちら1つを使用できます。
名前2を使用する場合は、複数変数を定義する場合に使用します。
=LET(価格, B2:B4, 数量, C2:C4, 価格 * 数量)
価格
と数量
という名前にそれぞれB2:B4
とC2:C4
を複数変数を定義します価格 * 数量
が計算式です。価格 * 数量
により、売上計を求めます
計算の場合は、名前1で定義した変数を使って計算式を記述します。
- 計算を記述する場合:
=LET(売上,C2:C4,SUM(売上))
- 売上という名前に
D2:D4
を定義しています -
SUM(売上)
が計算式で、売上の合計を求めます
- 売上という名前に
最後に
LET関数は、変数を定義して、数式を構築できる関数です。
本記事の「使用例」は簡単にしていますが、より複雑な式を威力が発揮します。
計算を簡素化/高速化したい時、計算式が複雑な時は、この記事を参考にしてください。
解答付きサンプルデータ
解答付きサンプルデータが欲しい方は、下記からダウンロードしてください。
参考記事:
Excel関数を操作するための基本概念です。基本概念を理解すると、各関数の理解がより深まります。
構文に関する記事
Excel関数の引数と戻り値は何だっけ?という時に、役立つ記事です。
ダイアログボックスの使い方に関する記事
Excel関数名は何だっけ?VLOOKUP関数の使い方は何だっけ?という時に、ダイアログボックスを使うと便利です。
下記はそのダイアログボックスに関する記事です。
参照形式に関する記事
関数式をコピーする時はどうしたらいい? $マークは、どう付けたらいいだろう?
といった悩みをお持ちの方は以下をご覧ください。