【ビジネスExcel実践講座・初級】基本的な関数と計算
其の3 関数のエラー処理
Excelチャンピオンになるためには、基本から応用まで幅広い知識が必要です。
「ビジネスExcel実践講座・初級編」を開設しました。
この講座では、Excelの基本操作を学ぶことができます。
前回は、「関数とは」について、「セルへの関数の入力方法」の其の2として解説しました。
今回は、其の3として、「関数のエラー処理」について解説します。
エラー処理は、Excelの関数を使ってデータを分析する際に不可欠です
エラー(例: #VALUE!、#DIV/0!)を理解し、
その原因を特定し、それらを適切に処理する方法は、データ品質を向上させます。
エラーの原因と対処方法
エラー対応の基本は、エラーメッセージを確認することです。
エラーメッセージは問題の具体的な原因を示すため、適切な対処方法を特定できます。
以下の表を参考にして、エラーメッセージを確認し、適切に対応しましょう。
名称 | 読み方 | 主な原因 | 対処方法の代表例 |
---|---|---|---|
#DIV/0! | ディバイド・パー・ゼロ | 割る数が「0」または「空白セル」など | 割る数が問題ないか等を確認する |
#VALUE! | バリュー | 引数の数式が間違っている、データ型の不一致など | 数式内のデータ型が一致しているか等を確認する |
#N/A | ノー・アサイン | 参照の対象が見つからないなど | 引数やデータ範囲が正しいか、対象データが存在するか等を確認する |
#REF! | リファレンス | セルを参照できないなど | セル参照が正しいか等を確認する |
#NAME? | ネーム | 定義外のものが入力されているなど | 関数名やセル参照が正しいか等を確認する |
#NUM! | ナンバー | 数値が適切な範囲を超えている、無効な数値演算など | 数値が適切な範囲内にあるか等を確認する |
#NULL! | ヌル | セル範囲が不適切につながれている、不適切な範囲指定など | 範囲指定が適切か等を確認する |
では、具体的にどのようにすれば良いでしょうか。
以下のサンプルデータを使用して、DATE関数を例に説明します。
サンプルデータ:
本記事のダウンロードファイルです。
大きくは3つのステップに焦点を当てています:
- エラー対応表を使用したエラー解決
- 基本的なエラー解決手法の適用
- 関数ウィザードでのエラー特定の試み
- エラーのより詳細な分析と特定。
- IFERROR関数によるエラーの一時的な対処
- 解決できないエラーに対し、ユーザーに親切なフィードバックを提供
エラー対応表を使用したエラー解決
エラーが発生したとき、まず確認すべきはエラーメッセージです。
よく見られるエラーコードとその原因、基本的な対処法を一覧表で紹介します。
1. エラーの確認:
- 関数エラーが発生した場合、セルに表示されるエラーコード(例: #VALUE!)を確認します。
- 例:セル
D4
に=DATE(A4, B4, C4)
を入力すると、#VALUE!
エラーが表示されます。
- 例:セル
2. エラーコードの参照:
- 上記のエラー対応表を参照し、該当するエラーコードを見つけます。
3. 原因の特定:
- 表の「主な原因」列を見て、エラーの原因を特定します。
- 例:
#VALUE!
エラーの原因が「引数の指定が間違っている」ためです。つまり、日付データに文字列が含まれているからです。
- 例:
4. 対処方法の実行:
- 表の「対処方法の代表例」に記載されている方法に従い、エラーを修正します。
- 例:
#VALUE!
エラーの原因が「引数の指定が間違っている」のため、不正な日付”Text”を数値データに置き換えます。
- 例:
この数式は、セル範囲 A4, B4, C4
を使用して日付を作成しようとしますが、
不正な日付Textを指定しているため、通常は #VALUE!
エラーが発生します。
関数ウィザードでのエラー特定の試み
関数ウィザードは、どの引数でエラーが発生しているかが分かりやすくなります。
※関数ウィザードとは、[関数の引数]ダイアログボックスのことです。
ただし、すべてのエラーに対してこの方法で適用できるわけではありません。
この例では、第3引数「日」で、 #VALUE!
エラーが発生している点が分かります。
IFERROR関数によるエラーの一時的な対処
IFERROR
関数を使用することで、
エラーが発生した場合に特定のメッセージを表示させることができます。
以下は、IFERROR(式, 代替値) を使用して、式の結果がエラーの場合に代替値を表示します。
1. エラー処理の追加
- 例えば、
DATE
関数を使用してエラーが発生した場合に、特定のメッセージを表示するように設定します。
2. 数式の入力
- 次の数式をセル
D4
に入力します:=IFERROR(DATE(A4, B4, C4), "エラー: 不正な日付です")
この数式は、セル A4, B4, C4
の値を使用して日付を作成しようとしますが、不正な日付”Text”を指定しているため、通常は #VALUE!
エラーが発生します。
※IFERROR関数に関しては、『【IFERROR関数】使い方と解説』を拝読してみてください。
ただし、IFERROR
関数はあくまで最終手段です。
エラーを解決するのではなく、エラーを代替メッセージに置き換えるだけで、本質的な問題解決にはなっていないからです。
例えば、DATE関数の場合、不正な日付が指定されているエラーか、関数式に誤りがあるエラーかが分かりにくくなります。
次回に関して
今回は、「基本的な関数と計算」の其の3として、「関数のエラー処理」について解説しました。
次回は、新章の「グラフの作成と基本操作」に入ります。
お楽しみに!