CHAR関数の構文解説と使用ガイド −指定したコード番号に対応する文字を返し、改行などを扱う−


本記事は CHAR 関数を解説します。

CHAR 関数は EXCEL 365EXCEL 2003 以降で利用可能。Microsoft 365Excel for MacWebExcel にも対応。以降の説明は Windows での動作を前提です。 💡(Web 版は一部コードのみ対応の注意あり)

EXCELCHAR は、「キャラクター」と呼びます。
数値の文字コードを対応する文字に変換するために使用します。

語源について
CHAR は英単語 character(文字)に由来すると考えられる表記で、数値と文字の対応を扱う関数名として採用されたと思います。 🧑‍🏫

CHAR関数の語源を示す英単語characterと日本語の文字の図解

こんな時に便利

使っているコンビュ ー タ ー の文字セットから、そのコード番号に対応する文字を返します。

[関数の挿入]ダイアログより

[関数の検索]のテキスト内に、「CHAR」と入力し、[検索開始]をクリックすると、関数がヒットします。
詳細の使用法に興味のある方は巻末の参考記事をご拝読ください。

たとえば、数値コードから記号や改行などの「直接入力できない文字」を扱いたい場面があります。
そのままでは、Excel に「改行」や「タブ」などを入れることができません。

しかし、CHAR 関数を使えば数値から文字を生成できる ため、
改行コード(CHAR(10))」や「タブ(CHAR(9))」などを簡単にセル内に挿入できます。

また、住所・商品名などを複数行で整形したり、メッセージを見やすく表示したりする際にも便利です。

CHAR 関数を使わない場合

  • 改行や特殊文字を直接入力できず、セル内が読みにくい
  • 結合文字列を整形できず、長い文章が見づらい

CHAR 関数を使う場合

  • &CHAR(10)& を使ってセル内改行が可能
  • CHAR(9) でタブ区切りの文字列を作成できる
  • CHAR(34) などで 引用符(”)や記号を自在に出力

つまり、CHAR 関数は 「コードから文字を自在に操る」 ための小さな万能ツールです ✨

CHAR関数ありとなしの比較図。改行を使うと見やすく、使わないと詰まって読みにくい

Microsoft Excelの「文字列操作」のカテゴリに属します。

CHAR 関数とは

Excelの関数の挿入ダイアログでCHAR関数を選択し、説明文が赤枠で強調されている画面

使っているコンビュ ー タ ー の文字セットから、そのコード番号に対応する文字を返します。

[関数の挿入]ダイアログより

CHAR関数は、数値コードから文字を生成する関数
CHAR は英単語 character(文字)に由来し、数値と文字を結びつける機能を表します。

たとえば、CHAR(65) はアルファベットの ACHAR(10)改行(LF) を返します。
これは Windows の文字コード(ANSI / ASCII) に基づいた変換であり、
コード番号を指定することで、Excel 上で改行・タブ・記号などを自在に扱えます。

💡 POINT
この関数は「文字コードを文字に変換する」ため、
セル内改行特殊文字の出力 に特に便利です。

CHAR関数の構文を示す図。引数の数値に赤い下線が引かれ、指定したコード番号に対応する文字を返すと説明されている

CHAR 関数の構文

ExcelのCHAR関数の引数ダイアログボックス。数値入力欄と説明文が表示されている画面

CHAR 関数は、指定した 数値コード(数値) に対応する文字を返す機能を持っています。
つまり、CHAR(数値) と指定することで、その数値が表す文字 を取得できます。

第1引数:数値

ExcelのCHAR関数の引数ダイアログ。数値入力欄が選択状態になっており、引数に焦点を当てた画面

  • 説明
    表示したい文字の 文字コード番号 を指定します。
  • 入力形式
    • 1~255 の範囲で指定可能(Windows環境では ANSI コード準拠)
    • 例:
コード出力結果用途
CHAR(10)↵(改行)セル内改行
CHAR(9)⇥(タブ)区切りを入れる
CHAR(34)“(ダブルクォーテーション)引用符を表示
  • 補足
    • CHAR 関数は Windows のコードページ(CP932) を参照するため、
      Mac 版や Web 版では一部コードが異なる場合があります。
    • 入力に数値以外を指定するとエラー(#VALUE!)になります。

CHAR関数の使用例

業務でよくある日本語データを使って、CHAR 関数の基本操作を学びます。
以降の手順は Windows 版 Excel を前提とします。

サンプルデータ(10件)

No氏名部署件名宛名住所
1佐藤太郎営業一課見積送付の件佐藤様東京都港区芝公園1-1-1
2鈴木花子総務部請求書送付鈴木様東京都千代田区霞が関2-2-2
3田中次郎経理部支払予定ご連絡田中様神奈川県横浜市西区3-3-3
4高橋三郎情報システム部アカウント発行高橋様埼玉県さいたま市中央区4-4-4
5伊藤美咲人事部面談日程の確認伊藤様千葉県千葉市中央区5-5-5
6渡辺健営業二課資料送付渡辺様東京都新宿区西新宿6-6-6
7山本裕子広報部プレス確認山本様東京都渋谷区渋谷7-7-7
8中村誠法務部契約ドラフト送付中村様東京都品川区大崎8-8-8
9小林宏製造部生産計画の共有小林様静岡県浜松市中区9-9-9
10加藤彩企画部企画書レビュー加藤様北海道札幌市中央区10-10-10

例:宛名・件名・住所を1セルにまとめる(改行あり)

目的:宛名・件名・住所を1つのセルにまとめて、改行で見やすく整形する

手順

  1. 宛名・件名・住所を結合して表示するための列を追加(列名は「本文」とする)
  2. 本文 列の1行目(例:G2セル)を選択
  3. 次の数式を入力 =A2&" "&D2&CHAR(10)&"件名:"&C2&CHAR(10)&"住所:"&F2
  4. 下方向にコピー
  5. セル書式設定 → [折り返して全体を表示する] にチェック
    • 文字列を結合している & は、複数の要素を1つの文章にまとめるときに使います。

引数設定

引数名入力値内容
数値10改行(LF)を挿入

結果

No氏名部署件名宛名住所本文(出力結果)
1佐藤太郎営業一課見積送付の件佐藤様東京都港区芝公園1-1-1佐藤様
件名:見積送付の件
住所:東京都港区芝公園1-1-1
2鈴木花子総務部請求書送付鈴木様東京都千代田区霞が関2-2-2鈴木様
件名:請求書送付
住所:東京都千代田区霞が関2-2-2
3田中次郎経理部支払予定ご連絡田中様神奈川県横浜市西区3-3-3田中様
件名:支払予定ご連絡
住所:神奈川県横浜市西区3-3-3

💡 改行コード CHAR(10) を使うことで、宛名 → 件名 → 住所 の順で見やすく整列できます。

補足
改行コード CHAR(10) を使うことで、宛名 → 件名 → 住所 の順で見やすく整列できます。
また、改行ではなく タブ区切り にしたい場合は、CHAR(10)CHAR(9) に置き換えるだけで対応できます。
タブ区切りは、テキストデータや他システムへの貼り付けにも便利です。

まとめ

CHAR 関数を使うと、Excel 上で 「直接入力できない文字」 を自由に扱えます。
特に CHAR(10)(改行)は、住所・メッセージ・備考欄などで非常に便利です。

注意点

  • 数値以外 を指定するとエラー(#VALUE!)になります。
  • Web 版 Excel では一部コードが異なる場合があります。
  • 数値コードの一覧(例:CHAR(9)=タブ、CHAR(34)=”)は Microsoft公式ドキュメント参照。

💡 応用編のご案内

  • CHAR(34):文字列を引用符で囲む方法
  • CHAR(65〜90):アルファベットを自動生成
  • CHAR(10)&CHAR(10):複数改行で定型文を作る